「温暖化の悪影響は本当か?危機感煽るIPCCの環境影響評価 不十分な科学的根拠」記事のホントのところ

はてな記法を忘れた頃にネタを見つけるようです。 今回の元ネタはこちら。Wedgeという雑誌は立ち位置がよく分かりません。基本的には保守系で懐疑論の記事を載せるんですが、Wedge選書では住明正の本を出していたりもするので。 結論の要約 4つの論点につい…

「ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性」記事のホントのところ

ご無沙汰しております。元ネタはこちら。またDaily mailの飛ばし記事ネタですか。そういえば最初にここで記事を書いたのもそれ関係でしたね。 結論の要約 北極の氷は、前年が異常すぎるほど融けていたから前年比で回復したように見えるだけで、今年も30年…

割合まともな部分もある。

結論の要約 古気候学を含むいくつかの学問分野に関する限り、著者の認識はかなり正しいと言えます。ただし、天文学系の話題で「よく一致している」などと言っている部分については、時間スケールが実際の気候のタイムスケールより大づかみではないかと思われ…

IPCCとその科学に対する無理解

結論の要約 著者はIPCCの科学に関する重大な誤解をしています。「ホッケースティック曲線」は古気候学の成果であって最近の気温変化について述べたものではないですから。また筆者はIPCCそのものについても正確な知識を持っていません。 本文 前回の続きです…

「ホッケースティック曲線」批判を主眼に据えた懐疑論

結論の要約 懐疑論者が何故か目の敵にする「ホッケースティック曲線」は第四次評価報告書(以下AR4)から削除されてなどいません。また筆者が自説の補強の為に紹介した再現気候の研究もAR4には載っているのですが、あたかもそれらをIPCCが認識していないかの…

序論

震災による福島第一原発の災禍によって、にわかに反原発の動きが活発になりました。 どのエネルギー源を選ぶかは国民の決めるところであって私がどうこう言うことではないのですが、日本において気候変動懐疑論がしばしば反原発と結びついてきた事を見ると、…

REDD+に関する些細な事

名古屋で生物多様性条約の会合が行われている事に絡めて、金銭援助と引き替えに途上国において森林の開発を一定期間行わない事で、そこの木に含まれている炭素がごっそり二酸化炭素として放出されるのを予防するという、REDD+という取り組みについての閣僚級…

In response to...

昨日のエントリには大反響をいただきましてありがとうございました。正直、びびっております。はてな記法にもまだ慣れていないというのに。 さて、ブコメやコメントを多数つけていただきましたが、そのうち追加の解説が必要だと思うものをいくつか取り上げさ…

「ついにNASAが認めた!地球温暖化詐欺!」記事のホントのところ

結論の要約 結論から言うと、懐疑論の記事は実に都合のよいトリミングの産物にすぎず、NASAは相変わらず人為的な気候変動は大問題だと考えております。嘘だと思うならばNASAのウェブページをご覧になればよろしい。ここがNASAの気候変動特集ページで、ここが…

「世界が日本人の生活すれば地球2.3個必要」 についての解説

これはエコロジカルフットプリントと呼ばれる持続可能性指標の一つを使っている表現ですが、どうも誤解を招きやすいようなのでちょっと解説を。 エコロジカルフットプリントは、人間の活動によって生じた環境負荷を回復するのに必要な地球の表面積として算出…

生態系と農業の南限・北限の北上

結論の要約 もし温暖化が起これば、農作物の生産地や野生生物の分布が北上します。もし温暖化の速度が野生生物、特に植物相の移動速度よりも速かった場合、それぞれの南限付近などの状態が不安定となります。また農業は作物の転換や旧来の耕作地の放棄によっ…

降水パターンの変化

結論の要約 もし地球が温暖化したとすると、雨の多い場所では雨が増え、乾燥した場所はさらに乾燥します。降水量が両極端に近づき、洪水と干ばつが増える恐れがあります。 本論 これを理解するための最も初歩的な知識は飽和水蒸気量曲線です。この曲線は下に…

「地球はミニ氷河期に突入した。」記事のホントのところ

「地球はミニ氷河期に突入した。」と発表(ドイツ研究所) : カラパイアという記事が注目を集めています。 「地球ミニ氷河期説」は、北極が2013年の夏までに、完璧に融けてしまう「地球温暖化説」と1900年から始まった地球温暖化は人類が排出した温室効果ガ…